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2004.07.23

野中広務 差別と権力

魚住 昭「野中広務 差別と権力」(講談社)

往来堂書店。その本屋は不忍通りに面してひっそりとある。近頃では、この程度の規模の書店だと、週刊誌と漫画と文庫本と実用書、そして売れ筋の単行本が数冊というのが普通だ。けれども、ここは神田の大書店にも置いていないような本が揃っていたりして、なかなかユニークな品揃えになっている。

久しぶりに立ち寄って、まず目に付いたのが魚住昭「野中広務 差別と権力」。「読売不買運動のすすめ」の項で紹介した同じ著者の「渡邊恒雄 メディアと権力」が、なかなかの力作だったので、迷わず購入した。小泉との権力闘争に敗れ、当人にとっては甚だ不本意な形で引退に追い込まれた野中という政治家に関心があったということもある。

結論から言ってしまえば期待はずれということになる。前作にあった切れ味がどこにも感じられない。やはり「差別」というテーマが重すぎたのだろうか。当人もあとがきで次のように述べている。「部落差別というのは、中世以来の日本人の心の闇が凝縮してできた壁のようなものだ。その壁の厚さと高さは取材を始める前の予想をはるかに超えていた。私ごときの手に負える代物ではなかったのである」。一種の敗北宣言であろう。

ふと、子どものころ母が、「どこそこの肉屋は新平民だ」とつぶやいていたことを思い出した。差別の根は深い。そして、野中が総理候補に取り沙汰されたとき「野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ」と発言したとされる麻生太郎のような政治家を、絶対に総理にしてはいけないと思った。(健)

野中広務 差別と権力

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コメント

了解。送っておいた。

投稿: T | 2004.07.24 02:55

Thanks.
今度ぜひ、その古本屋の従弟のYさんを紹介してくれたまへ。よろしく。

投稿: N | 2004.07.23 11:33

ああ。いい文だな。結末が強くていいな。
おれも、麻生は大嫌いだ。
ところで、従弟のYが古本屋やってる。生涯一古本屋、という頑固者だ。よかったら、会ってやってくれ。 

投稿: T | 2004.07.23 08:26

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