登録商標はなぜ言い換えが必要なのか?
それは主にメーカーと報道機関との間のトラブル防止ですね。
こうした言い換えを実施する以前は、
新聞社などは、いくつか訴訟問題を抱えていた時期があります。
万歩計やセロテープ程度なら特に問題は起こらないのですが、
セスナ機やテトラポッドなど大物になると大変です。
例えば、どこかで軽飛行機が墜落事故を起こしたとき。
新聞などで「セスナ機墜落」という大見出しが躍ったとします。
セスナ機は野崎産業の登録商標です。
調べたら事故機は他のメーカーの物だったらどうでしょう。
野崎産業が信用を失墜されたとして、
新聞社相手に損害賠償の訴訟を起こす可能性は十分あります。
テトラポッドにも同じことが言えます。台風などの時に
不用意に「テトラポッド役に立たず」なんて見出しは書けません。
テトラポッドは日本テトラポッドの登録商標ですが、
同じような製品は他社でも製造・販売されているのですから。
この場合は、消波ブロックとか
波消しブロックに言い換えるわけです。
小物だからと言って問題なしとはいえません。
例えば味の素などがいい例でしょう。
味の素は味の素の登録商標なので、1970年頃までは
「化学調味料」と言い換えられていました。
しかし、現在は天然原料による発酵法で製造されているので
「化学」という表現は誤解を与えるとして「うま味調味料」に。
どうしてこういうことが起きるかというと、消費者にとっては
初めにインプットされた製品名の印象が強烈だからでしょう。
そんな例は、身近にもたくさんあります。
ウォークマン(ソニー)→ ヘッドホンステレオ
えびせん(カルビー)→ えびせんべい
カップヌードル(日清食品)→ カップめん
カルピス(カルピス)→ 乳酸菌飲料
デジカメ(三洋電機)→ デジタルカメラ
ポラロイドカメラ(日本ポラロイド)→ インスタントカメラ
ポリバケツ(積水化学工業)→ プラスチックのバケツ
マジックインキ(内田洋行)→ 油性フェルトペン
数え上げたらきりがありませんが、
まあ、一般消費者には言い換えは無用です。
だって、マジック借りるのに
「ちょっと油性フェルトペン貸して」って変なやつでしょう?
そういえば、未だにコピー頼むのに
「これゼロックスして」という上司たまにいますよね。
ゼロックスは富士ゼロックスの登録商標だけど、
今は死語の領域でしょう・・・
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