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2008年11月 4日 (火)

「百円シンガー 極楽天使」 末永直海

Hyaku1 末永直海著
河出書房新社(282p) 1997.07.10
1,470円 

百円ショップに並ぶモノたちの愛おしささながらのキンクレコードのショー歌手、給料は9万円、おひねりがそれを上回り生活が成り立っている。主人公はいわゆる「ハコ」歌手、ヘルスセンターやキャバレーあるいは酒場で歌い持ち歌を持たない。徐々に登場する仲間や旦那のみながどこか世間離れしていて、またそろって必死に生きていながら善人っぽくて喧嘩早い。

一度やったらやめられない歌手の至福
百円シンガーとは、あやうくカラオケで歌わされたが、おひねりを客一人につき百円要求したところから来ている。歌手のプライドを保つためだ。

夏月リンカ、芸能社に振り回され、仲間にちょっぴり裏切られるが、ステージで一夜の夢を売り、また「煮えたつ鍋の中のようなアノ空気、芸人なら誰でも欲 しがる、誰でも待っている、アノ、とろけるバターが天から落ちてくる、こたえられない瞬間」のために日々を生きている。

映画向けの筋立て
作者は漫画家の秘書、ホステス、演歌歌手などさまざまな職業を経て96年にノンフィクション「薔薇の鬼ごっこ」で第3回蓮如賞優秀作(主催・本願寺維持財団)を受賞し作家としてデビューした。

その豊富な体験を駆使して書かれた本書は、愉快でかつペーソスにあふれ、その音楽さながらの体言止めを多用したたたみかけるようなテンポ、詩さながらのレトリックあふれる言い回しが心地よく、読者を引きずり込む。

「イッツ・ザ・ドサ・スピリット」など会話のテンポも快調で、登場人物の性格分けも分かりやすく、映画向けの筋立て、「蒲田行進曲」の最新版さながら。不思議に男っぽい語り口だが、いささか自慢っぽいステージ体験譚、少女時代の思い出話はご愛敬か。(修)

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