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2008年11月 4日 (火)

「メニューの読み方」 見田盛夫

Menyu 見田盛夫著
 平凡社(328p)1998.02.15 
1,050円

実地検証の強み
ドキュメンタリーの、妙にして特異な書ばかりといっていい、平凡社ライブラリーでちょと手が出しにくい印象だったが、これは気軽で役に立つ功著。著者はラジオ放送畑の出身で、退社後に多彩な趣味領域を渉猟したのちにフランス料理に到達、ニューベル・キュイジーヌに危機感を覚え、レストラン批評年鑑まで挙行した御仁である。

辞書としても便利、索引・単語集も丁寧
メニューの読み方は当然フランス語にもいくらか強いことを要求する。この書はさらに字解きも詳細で覚えやすい。例えば、調理法のグリエとロティの違いの説明はこうである。

暖炉の前で串に刺した鳥を支持台に掛けて焼くのはグリエ、熾の上の鉄格子で焼くのがロティと解説され、さらに今日は多くオーブンを使うが、オーブンは湿 気を逃がしにくいから肉の旨味が濃縮されにくいこと、また、輻射熱が少ないから皮がパリっと仕上がらないなど、しっかりと苦言も提示される。  

スープの説明も面白い。現地ではスープを飲むといわず食べるというそうだが、それは元々はこの語は一片の固いパンを指していたが、それを皿がわりにド ロッとした汁を食すようになり、ついにパン無しで皿入り汁に変化。その名残がクルトンに留められているという。

肉の部位の説明も大人牛と仔牛に分けて図解入りでわかりやすいし、材料、調理法、国柄の紹介など通常の料理本と一味違う造りが良い。例のア・ラ(a la)の研究も一項設けてある。・・・風の意。当たり前だが、片仮名での発音入りで全編が書かれている。ちょっと自慢っぽい所さえ我慢すれば、それはいか にもア・ラ・フランスであるが、ニヤっとさせられながら読める。(修)

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