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2016年7月

2016年7月19日 (火)

「ザ・カルテル(上下)」ドン・ウィンズロウ

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ドン・ウィンズロウ 著
角川文庫(上636p、下594p)2016.04.23
各1,296円
ドン・ウィンズロウの『犬の力』(2009)は、アメリカとメキシコを舞台に数十年にわたる麻薬戦争を描いた傑作ミステリーだった。米国麻薬取締局(DEA)捜査官とメキシコ麻薬カルテルのボスが宿命的に対決する物語の圧倒的な面白さで、確かその年のミステリー・ランキングで1位を総なめしたはずだ。『ザ・カルテル』はその続編に当たる。

冒頭に「本書を次の人々に捧げる」として、131人もの人々の名前が4ページにわたって挙げられている。著者は、「(131人は)本書の物語が展開する時代に、メキシコで殺されたり“消え”たりしたジャーナリストの一部である」と述べ、こうつけくわえている。「本書はフィクションである。しかし、メキシコの“麻薬戦争”に詳しい人なら誰でも、本文中の出来事が実際の出来事から着想を得ていることに気づくだろう。わたしは数多くのジャーナリストの作品を参考にした」

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「化粧の日本史」山村博美

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山村博美 著
吉川弘文館(221p)2016.05.20
1,836円

電車に乗れば、混雑した車内で一心不乱に化粧をしている若い女性がいる。化粧が身だしなみであり、周りの人達に対しての気配りだとしたら、その工程を周囲の人達に見せてしまうというのは自己矛盾だろう。そんな、昨今の状況にいささか戸惑い、辟易としている中での化粧に関する読書に挑戦してみた。

本書はタイトル通り、古墳時代から現代にいたる日本において、化粧がどんな意味を持ち、時代と共にどんな変化をしてきたのかをまとめたもの。化粧とは夜眠る時には落としてしまうという一過性の行為の繰り返しということもあって、時を超えて物的資料が残っていることは少ないという。

従って、化粧に関する資料としては、文学、絵画、芸能、風俗といった各分野での断片的情報を集め、組み合わせることで化粧の歴史の全貌を描き出す必要がある。そうした、地道な作業の積み上げを必要としていることから、学問として注目度は低かった様で、その意味からも本書は「化粧の通史」として挑戦的な一冊といえそうだ。

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