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2016年8月

2016年8月22日 (月)

「属国民主主義論」内田樹・白井聡

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内田 樹・白井 聡 著
東洋経済新報社(360p)2016.07.21
1,728円

この対談集のタイトルになっている「属国」とは、「日本はアメリカの属国であり、主権国家ではない」ことを指す。「属国民主主義」とは、「どれほど民主主義的に理想的なプロセスを経て物事を決めることができるとしても、決定の効力を及ぼすことのできる領域がどこにもないのならば、決定自体に何の意味もない」、そんな民主主義を指す。

最大の問題は、と白井聡が言う。「日本がアメリカの属国であるという現状を肯定しながらも、その原因となった敗戦という事実を、意識の中でちゃんと認めてないということですね。……『敗戦の否認』がもたらす大きな問題は、それによって日本人が、自らが置かれた状況を正しく認識できなくなってしまったということです。……本当は、主権がないのであれば、あるべき主権を確立しようとするのが、本来の意味でのナショナリズムであり、民主主義の帰結するところでしょう」

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「戦艦大和ノ最期」吉田 満

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吉田 満 著
講談社(224p)2016.07.09
1,080円

講談社文芸文庫ワイドとして「戦艦大和ノ最期」が2016年7月8日に発行された。「戦艦大和ノ最期」の初版は1952年(昭和27年)に創元社から発行され、その後、決定稿とされた北洋社版が1974年(昭和49年)4月に出版、同年11月にはこの「戦艦大和ノ最期」と「提督伊藤整一の生涯」など、吉田満の4編の作品をまとめた「鎮魂戦艦大和」が講談社から出版されている。今回とりあげる、講談社文庫本ワイドにはこの決定稿「戦艦大和ノ最期」が収められているのに加えて、三つの版の各々に書かれた吉田の「あとがき」、創元社版に載せられた、河上徹太郎、小林秀雄、林房雄、三島由紀夫、吉川英治の「跋文」、講談社版の、江藤淳の「序文」、鶴見俊輔の「解説 戦艦大和ノ最期」、古山富士雄の「作家案内 吉田満」が収められている。

こうした、あとがき、跋文、解説などを発行された時代とともに読むと、文章を書いた人々の戦争体験が当然色濃く反映されているとともに、各版の時代(昭和27年と昭和49年)の社会状況も映されていることが判る。それは読み手である私自身にもいえることで、自分がどんな状況でその本を読んだかで受け止め方も当然異なってくる。私は「戦艦大和ノ最期」を過去二回読んでいる。一度目は父の書架にあった創元社版の「戦艦大和ノ最期」を中学生のときに手にした。

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