« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »

2016年12月

2016年12月20日 (火)

「駄犬道中おかげ参り」 土橋章宏

Daken_dobasi

土橋章宏 著
小学館(427p)2016.09.14
1,620円

著者の土橋は「超高速 ! 参勤交代」で華々しくデビューの後、時代小説を得意ジャンルとして活躍している気鋭だ。「駄犬道中おかげ参り」は天保元年(一八三〇年)の「おかげ参り」が舞台となっている。この年「おかげ参り」の人数は二百五十万人を超えたといわれている。江戸からの道中は東海道を進み伊勢の四日市宿から分岐して松坂宿を経由して伊勢神宮に至るというルート。旅としては十五日から二十日程の旅だろうか。年端もいかぬ子供達が柄杓一本を持って旅が出来た。この柄杓をみると宿場の人々は伊勢への信心の旅人とわかり施し(路銀の寄進)をしてくれる。人数だけでなく、子供達の安全を担保する環境があったことに驚かされるばかりである。

江戸から伊勢までの旅物語に登場する人物は三人と一匹。まったく見ず知らずの彼らが、江戸を発ち、最初の品川宿、次の川崎宿の間でたまたま出会い共に旅をするというストーリー。

続きを読む "「駄犬道中おかげ参り」 土橋章宏"

| | コメント (0)

「マラス 暴力に支配される少年たち」工藤律子

Marath_kudou

工藤律子 著
集英社(336p)2016.11.30
1800円+税

5年ほど前、『闇の列車、光の旅(原題:Sin Nombre /名無し)』というメキシコ・アメリカ合作映画を見たことがある。貧しいホンジュラスの少女が、父がアメリカに残した家族に会うためパスポートも持たず貨物列車の屋根に乗り、アメリカ国境に向けてメキシコを旅する映画だった。少女は列車の屋根に乗る移民を襲ったギャングの少年と仲良くなり、少年は逆にギャングに追われることになって少女とともに逃避行を試みる。物語の大部分が列車の屋根の上で展開する、とてもユニークな映画だった。

貧困やギャング、麻薬といった中米がかかえる問題を背景にした青春映画。きっと映画が描いたような現実が実際にあり、それをベースにしているんだろうな、と感じた。『マラス』を読んでいたら、映画と同じように貨物列車の屋根に乗ってアメリカを目指すホンジュラスの少女が出てきて、ああやっぱり、と思った。

続きを読む "「マラス 暴力に支配される少年たち」工藤律子"

| | コメント (0)

« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »