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2017年4月

2017年4月25日 (火)

「騎士団長殺し」村上春樹

Kisidan_murakami

村上春樹 著
新潮社(第1部512p、第2部544p)2017.02.25
各1,944円

『風の歌を聴け』以来、村上春樹の長編はほとんど読んできた。群像新人賞を受けたこの小説が刊行されたのが1979年だから、ざっと40年になる。なんでこんなに長いあいだ飽きずに読んでこられたんだろうと考えると、同世代としての共感がいちばん大きかったように思う。小生は1947年生まれ、村上は49年、いわゆる団塊の世代に属する。それぞれの生きた道筋は違っても、いろんなことを同時代的に体験し同じ空気を呼吸してきた。そのことで、言葉以前に通ずるものがある、ような気がする。

村上春樹の初期の小説に流れていたのは喪失感と、にもかかわらず日々はつづく、という感覚だったと思う。『風の歌を聴け』は、東京の大学に在籍しているらしい「僕」が神戸に近い海沿いの町に里帰りして、なじみのバーで友人やガールフレンドととりとめない日々を過ごす小説だった。アメリカ西海岸ふうな舞台装置と、アメリカ小説から抜け出てきたような洒落た会話が新鮮だった。でも仲のよい友人と親しく会話をかわす「僕」の心の底に、どうしようもなく喪失感が流れているように感じられた。

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「ジャズメン死亡診断書」 小川隆夫

Jazz_ogawa

小川隆夫 著
シンコーミュージック・エンタテイメント(312p)2017.02.13
2,160円

著者は自ら整形外科医・Jazzジャーナリストと名乗っているように、ジャズ好きと医師という二つの目線を組み合わせながら「ミュージシャンの『死』から見えてくる人生、そして聴こえてくるジャズ」という考え方に基づいて彼らの人生を表現してみせている。具体的には23名のジャズ・ミュージシャンの死亡原因とその経緯を著者の医学的考察を示し、そこから遡って、音楽活動の記録を重ねてプレーヤー達のジャズ人生を振り返ってみるという試みである。このユニークな手法では死亡原因を探り、持病、麻薬中毒、アルコール依存、そして人間関係などメンタルな要素も加えることで、ジャズプレーヤー達の生き様を描き出すという構想を温めてきたとして次のように語っている。

「『音楽はミュージシャンの写し鏡』とよくいわれる。演奏に人柄が反映されていることも少なくない。……マイルス・デイヴィスやブルーノートの創業者であるアルフレッド・ライオンのお墓や墓地からは、その人物のひととなりが見えて来て、さまざまなことを考えさせられた」

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