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2017年6月

2017年6月23日 (金)

「世界まるごとギョーザの旅」 久保えーじ

Sekai_kubo

久保えーじ 著
東海教育研究所(252p)2017.02.21
1,944円

著者は世界50ヶ国以上を旅して、現地で出会った食べ物を日本で再現している人だ。奥さんは調理師という能力を生かしつつ、夫婦が追いつづけたテーマの一つが「ギョーザ」である。中国人が日本でギョウザを焼くことにカルチャーショックを受けたというエピソードに象徴されるように、今となっては、焼き餃子はれっきとした日本のソウルフードになったと言って良いだろう。

それは、文化の伝播の常として受容のプロセスの過程で多様な変化が発生し、そこに新しいものが生まれるのは必然という証左でもある。その結果、長い歴史を持ちながらも世界各国にギョウザの仲間が存在し続けていることは「ギョーザ」の持つ魅力であることを教えてくれる努力の一冊になっている。

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「田中陽造著作集 人外魔境篇」 田中陽造

Tanaka_tanaka

田中陽造 著
文遊社(480p)2017.04.25
3,564円

ずいぶん凝った装幀の本だなあ、と思って書店で手に取った。コートしてないオフホワイトのカバー用紙に、余白をたっぷり取った小村雪岱の版画。鏡台のある部屋から外を眺めている。運河と低い甍の連なりは明治の風景か。「田中陽造著作集」のタイトルは、かすれさせた古風な明朝で小ぶりな縦組み。紺色の帯のキャッチコピーに「魔の棲む映画」とある。本を開くと見返しにも雪岱の墨一色の版画。別丁扉の前にもう一枚、半透明で模様入りの扉が挟まれている。雪岱が装幀家、挿画家として人気だった大正から昭和初期の造本を意識したらしい粋な仕上がりだ。

脚本家・田中陽造の名前をはじめて記憶にとどめたのは、「実録白川和子 裸の履歴書」(1973)だったか「㊙女郎責め地獄」だったか。当時、日活ロマンポルノが猥褻図画として摘発されてスキャンダルになり、しかも映画として質の高い作品が多かったので、週刊誌記者として面白がって取材し記事にしたのだった。田中陽造は20本以上のロマンポルノの脚本を書き、その後も『新仁義なき戦い 組長の首』『嗚呼‼ 花の応援団』『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『セーラー服と機関銃』『魚影の群れ』『居酒屋ゆうれい』と話題作の脚本を書いた。

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