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2017年9月

2017年9月20日 (水)

「森の探偵」宮崎学・小原真史(文・構成)

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宮崎学・小原真史 著
亜紀書房(336p)2017.07.06
1,944円

動物写真家と紹介されることの多い宮崎学だが、彼の撮る写真は普通の人が考える動物写真のイメージから、ずいぶんはずれている。

いま手元に、宮崎の特徴をよく表した2冊の写真集がある。『死』(平凡社)は、森のなかで見つけたニホンカモシカやタヌキなど野生動物の死骸を定点観測したもの。ニホンカモシカの死骸をまずシデムシやハエがかぎつけ、卵を産んでウジが体内に入り、タヌキやネズミ、モモンガ、コマドリがやってきて死肉を食い、体毛をもっていき、やがて白骨になって落葉のなかに埋もれる様子を数カ月にわたって撮影したものだ。

『アニマル黙示録』(講談社)は、文明社会との接点に住む野生動物を追ったもの。盛り場をねぐらにするドブネズミ。どぶ川に住むティラピア。洗剤のキャップを宿にしたヤドカリ。行楽地の残飯をあさるニホンザル。野生化して東京の空を飛ぶインコ。ゴミ焼却場のゴミを餌にするキツネの家族。キャンプ場のゴミ捨て場に現れるツキノワグマ。ブラジャーやティッシュで巣をつくるトビ……。

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「拉致と日本人」 蓮池透・辛淑玉

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蓮池透・辛淑玉 著
岩波書店(176p)2017.06.28
1,836円

北朝鮮に拉致された蓮池薫の兄・蓮池透と在日三世で在日問題やヘイトスピーチ問題に取り組んできた辛淑玉による対談。この二人は各々の立場で賛否の議論を生みつつも、権力に抗する姿勢を弱めることなく発言し続けている。今回の対談は辛が蓮池に質問し会話を進めるという形をとっているのだが、拉致問題に真剣に取り組んでいるように思えない政治家、「家族会」と「救う会」の関係の変節、「家族と国家」の対立軸における拉致被害者たちの苦悩、拉致被害者間の帰国者・家族と未帰国者家族との分断等に焦点を当ててつつ、拉致問題のもう一つの側面である、「北朝鮮と在日朝鮮人」については、変質していった民族団体の現状、在日間におけるバッシング等を語っている。

2017年夏に本書を読んでいるのだが、アメリカ合衆国第45代大統領トランプと北朝鮮総書記の金正恩との間で核実験とミサイルに関するチキン・レースが繰り広げられる中、日本列島を飛び越える形で北朝鮮の弾道ミサイルが発射されたというニュースが流れている。日本と朝鮮半島との間には、戦前から現代に至るまで国家間というだけでなく、一人一人の人間としての体験や思いが蓄積されている複雑な歴史が存在する。

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