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2017年10月

2017年10月22日 (日)

「噺は生きている」広瀬和生

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広瀬和生 著
毎日新聞出版(320p)2017.07.26
1,728円

頁をめくる毎に著者の落語に関する造詣だけでなく、愛情の深さも良く判る一冊。それだけに、いささか偏愛とも言えそうな微細な分析には納得というよりも驚きが先行するというのが実感である。落語家に関する評論は数多く世に出されているが、本書は「演目論」であり、こうした演目(ネタ)を核にして落語を語り尽くしている本は珍しい。広瀬が俎上に乗せた演目は名作の名をほしいままにしている「芝浜」「富久」「紺屋高尾・幾代餅」「文七元結」の四つである。演目とは単なる「ネタ(種)」であり、各時代の落語家たちが独自の工夫を加えてさまざまな「演(や)り方」をして噺を語って来た。その意味を広瀬はこう語っている。

「落語の演目とはあくまでも『器』にすぎない。その『器』にそれぞれの演者が『魂』を吹き込んでいくことで、初めて『生きた噺』となる。…噺は生きている。だからこそ落語は面白い」

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「黒い瞳のブロンド」ベンジャミン・ブラック

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ベンジャミン・ブラック 著
早川ポケット・ミステリ(352p)2014.10.10
2,052円

書店で早川ポケット・ミステリの棚を見ていたら、「私立探偵フィリップ・マーロウ シリーズ最新作」という帯が目についた。といってもレイモンド・チャンドラーはとっくの昔に亡くなっているから、チャンドラーの新作ということはありえない。かつてロバート・パーカーが、チャンドラーの未完のマーロウもの『プードル・スプリングス物語』を書き継いだことがあるから、その類いだろうと見当をつけた。でも、ベンジャミン・ブラックという作家は知らないし、読んだこともない。

「あとがき」を見たらイギリスの作家、ジョン・バンヴィルの別名義だという。ジョン・バンヴィルという人の小説も読んだことがないけど、『海に帰る日』という作品でブッカー賞を得ているから(このときカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』も候補になっていた)力のある小説家なんだろう。タイトルも魅力的。最近、ハードボイルドにはご無沙汰だったこともあって、ついレジへ持っていってしまった。

巻末の「著者ノート」によると、チャンドラーは自分の資料ファイルのなかに、将来書くことになるかもしれない小説のタイトルのリストを保存していた。「黒い瞳のブロンド(The Black-eyed Blonde)」は、そのひとつだったという。

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