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2017年12月

2017年12月17日 (日)

「『元号』と戦後日本」 鈴木洋二

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鈴木洋二 著
青土社(302p)2017.08.22
2,052円

今上天皇の退位に関する皇室会議の報道を聴きながら、この原稿を書いている。平成という時代はどんな時代であったのかを語る場が多くなるはずだ。同時に来年、2018年が明治維新から150年であることを声高に語る人達もいる。歴史を「元号」で語る意味は多くの側面を持っている、その一つの切り口を本書は提示している。著者の鈴木洋二は昭和55年生まれ、歴史社会学を専門とする社会情報学博士。東京大学のHPを見てみると、「メディアやコミュニケーションに関わる社会現象・文化現象、そして情報社会における諸問題を「社会情報」という視点から学際的に分析する新しい学問」とある。

普段の生活で目にふれる「元号」は年号としての役割だけでなく企業名や大学名など「元号」と結びつく表象は極めて多いことに気付く。本書ではその「元号」を時代区分のインデックスという意味に限定して定義した上で、「戦後」との対応関係で「元号」がどのように機能しているのかを本書で掘り下げている。

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「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」水野和夫

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水野和夫 著
集英社新書(272p)2017.05.22
842円

6年前、水野和夫の『終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか』(日本経済新聞出版社)を読んだ。ゼロ金利、ゼロ成長と格差拡大がつづく日本経済の閉塞を、中世から近代への転換期だった16世紀イタリアと比較しながら資本主義の行き詰まりと捉える壮大な見取り図に興奮した(ブック・ナビにも感想を書いた)。この本の末尾で水野は、来るべき世界の見取図を「脱成長の時代」「定常システム」という言葉でラフスケッチしていた。言葉だけで中身がほとんど説明されていないのは、それが著者のなかで着想の段階であり、考えが十分に熟していなかったからだろう。本書を読んだのは、その着想がどう深化しているかを知りたかったから。

そこへいく前に、まず著者が現在の世界をどう考えているかを見てみよう。

英国のEU離脱やトランプ大統領の誕生を水野は、世界中で貧富の格差を拡大するグローバリゼーションへの抵抗、「国民国家へのゆり戻し」と考える。近代の国民国家は、豊かな生活や市民社会の安定といった市民の欲望に答えるために生産力の増大を必要とした。生産力を増大=成長するためには、世界には常にフロンティアがなければならない。フロンティアから富を中央(英国、米国といった覇権国)に集中させる(別の言葉でいえば収奪する)ことによって、資本は自己を増殖させてゆく。

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