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2018年2月

2018年2月21日 (水)

「主権なき平和国家」伊勢﨑賢治・布施祐仁

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伊勢﨑賢治・布施祐仁 著
集英社(272p)2017.10.31
1,620円

沖縄で米軍機の事故や米兵の犯罪が起こるたびに「日米地位協定」という言葉がメディアをにぎわす。でも、たいていは「協定によって○○(逮捕とか、調査とか、規制とか)できない」というだけで通りすぎてしまう。日米地位協定とはそもそもどんなものなのか、多くの人が知らないのではないか。僕自身もそうだった。そこで「地位協定の国際比較からみる日本の姿」というサブタイトルのこの本を読んでみることにした。

著者のひとりである伊勢﨑賢治は、国際NGOで活動した後、国連PKO幹部として東チモールの行政官となり、シエラレオネでは国連派遣団の武装解除部長を務めた。また日本政府特別代表としてアフガニスタンの武装解除を担ったこともある。自称「紛争屋」、世界の紛争地の現場で仕事をしてきた人である。本書はジャーナリストの布施祐仁が伊勢﨑へのインタビューを基に、他国の地位協定のありようを調査してまとめたものだ。

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「アメリカ 暴力の世紀」ジョン・ W・.ダワー

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ジョン・ W・.ダワー 著
岩波書店(204p)2017.11.15
1,944円

この一年間、トランプ政権の政策運営を見ていると「アメリカ 暴力の世紀」という本書のタイトルにどうしても今日的な意味を思い浮かべてしまうのだが、本書原文の最終稿は2016年9月で、オバマ政権の最終局面までのアメリカを考察の対象にしていることは確認しておきたい。もっとも、日本語版の「はじめに」の執筆時期は2017年8月ということもあり、トランプ政権に対する著者ダワーの辛辣な評価とともに日本政府の対応についても読み応えのある文章になっている。

本書のタイトルは、ヘンリー・ルースが1941年2月に発表した論評「アメリカの世紀」をもじって「暴力」という形容詞を加えたものだが、1941年といえばアメリカは経済恐慌から脱却し、第二次大戦を前にして経済的や軍事的にも自信にあふれた時代だ。その後、良し悪しは別としてアメリカは対抗できる国が無い状態で存在してきた。その間「パックス・アメリカーナ」といった大袈裟な「言葉」で語られてきたアメリカとは何なのかを、冷戦、ソ連の崩壊、湾岸戦争、9.11といった事件と時代を継続・関連した事象として詳細に分析している。その手法は国防総省、CIA、軍の現場、政府の広範な資料やデータの引用で徹底して裏付けられており巻末の引用リストも圧巻である。

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