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2018年5月

2018年5月20日 (日)

「醤油 (ものと人間の文化誌 180) 」 吉田 元

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吉田 元 著
法政大学出版局(269p)2018.03.09
2,808円

古代から現代まで日本における「醤油」の歴史を辿っている一冊。加えて、アジア各国における「醤油類」の製造についても俯瞰していて、広範囲な醤油文化を描いている。技術に重点を置いた内容なので、詳細な醗酵のメカニズムや製造プロセスの説明など、読み手の興味によって、選択的な読書をしても良いと思う。醤油の歴史についての好奇心を満たしてくれる十分な内容になっている。

いうまでもなく、醤油は日本で愛されて来た発酵調味料。その理由として、温暖湿潤な気候に支えられた農耕文化のわれわれ日本人の食生活は穀物中心の植物性タンパク質を大量に摂取するため。塩に頼った味付けが必要だった。過去においては、こうした日本型の食生活の欠陥として動物性タンパク質の摂取不足と塩分の過剰摂取が指摘されてきた。最近はその日本食は健康食として世界からもてはやされているというのも皮肉なものである。要すれば、何事につけても過剰摂取やバランスの崩れが食生活として問題が有るという事なのだろう。

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「超国家主義」中島岳志

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中島岳志 著
筑摩書房(272p)2018.03.25
1,836円

「超国家主義」とはなんだろうか。平凡社大百科事典にはこうある。「ナショナリズム(民族主義、国家主義、国民主義)の契機を極端に膨張・拡大し、自民族至上主義、優越主義を他民族抑圧・併合とそのための国家的・軍事的侵略にまで拡大して国民を動員・統合・正当化する思想・運動ないしは体制のこと」。第二次世界大戦前、天皇を頂点にいただく大日本帝国をその中心に構想された「大東亜共栄圏」は超国家主義の典型とされる。とはいえ21世紀に生きるわれわれにとって、それは歴史の彼方にある遠い風景にすぎないようにも感じられる。

いや、そうではない、と中島岳志は言う。彼は本書を構想したきっかけをこのように書く。ある日、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 まごころを、君に』という映画を見て衝撃を受けた。なぜなら、煩悶をかかえた青年が世界との一体化を希求して政治行動へ傾斜するこの映画の世界観はそのまま超国家主義につながっている。超国家主義への渇望は今もうずいている。この本は、そんな問題意識から生まれた。

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