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2018年8月

2018年8月24日 (金)

「宝島」真藤順丈

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真藤順丈 著
講談社(544p)2018.06.19
1,998円

「戦果アギヤー」という言葉がある。「戦果をあげる者」という意味の琉球語(ウチナーグチ)だ。この言葉は、第二次大戦敗戦後、米軍占領下の沖縄で生まれた。

米軍と日本軍の地上戦が繰り広げられた沖縄では多くの民間人が命を落としたが、生き残った者も家や土地など生きる基盤を根こそぎ奪われた。米軍は各所に民間人収容所を設置し、テント、食糧、衣服などを支給。収容所では地域ごとに住民が責任者や民警を選び、これが沖縄の戦後自治体のはしりとなった。

収容所生活が終わっても、土地を米軍基地に奪われ働く場もなかったから、沖縄人が食うに困る状況は変わらなかった。この時期、沖縄人の生活を支えたのは「戦果アギヤー」と「密貿易」だった(岸政彦『はじめての沖縄』)。

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「日本鉄道事始め」髙橋団吉

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髙橋団吉 著
NHK出版(208p)2018.04.11
1,836円

私は鉄道が好きだ。鉄道好きと言っても色々なカテゴリーがあるのだが、列車に乗る、写真を撮る、切符を集める、模型を作る等、子供の頃から一通りのことをやってきた。今、東京駅から東海道新幹線に乗れば品川の操車場の再開発工事を目にするし、東北新幹線では大宮新都心のビル群が天を突き、昔の操車場跡は面影もない。そうした風景を車窓から眺めていると、鉄道というシステムが時代とともに変わってしまったことを痛感する。

本書の著者である髙橋団吉も鉄道好きであり、鉄道に関する著作を多く書いて来た男だ。ただ、本書は鉄道マニア向けの「近代日本における鉄道」を語っているのではない。鉄道の有り方はその時点の社会システムからの要請から形作られているという事実を直視して「鉄道を通して日本の近代」を考えてみようという狙いの一冊である。

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