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2018年12月

2018年12月16日 (日)

「津波の霊たち」リチャード・ロイド・パリー

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リチャード・ロイド・パリー 著
早川書房(336p)2018.01.25
1,944円

ブック・ナビで取り上げる本はずっと新刊本を対象にしてきたけれど、ここ2年ほどはときどき旧刊も取り上げている。書評のプロではないので幅広く目配りするわけでもなく、何冊か読んでも心が動く本が見つからない月がある。新刊ばかり読んでいるわけでもないので、そんなときは旧刊でも面白かった本について書くことを主宰者から許してもらった。『津波の霊たち 3.11 死と生の物語』も、そんな一冊。

書店でこの本を見てリチャード・ロイド・パリーという名前に見覚えがあった。カバー袖の著者紹介を見ると、ブック・ナビでも取り上げた『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件の真実』の著者。英国『ザ・タイムズ』紙の東京支局長で、20年以上東京に暮らすベテラン・ジャーナリストだ。

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「サリン事件死刑囚 中川智正との対話」アンソニー・トゥー

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アンソニー・トゥー 著
KADOKAWA(232p)2018.07.26
1,512円

サリン事件の死刑囚が東京拘置所から各地の拘置所に移送され死刑執行が近いだろうという想定はしていたものの、実際に麻原以下7名の死刑か執行されたとのニュースに接すると色々な思いが去来した。教団の国政選挙出馬、坂本弁護士一家殺人事件、松本サリン事件、東京地下鉄サリン事件といった、それまでの常識ではとても理解出来ないオウムの宗教活動や犯罪が続くと同時に、私自身も会社で責任分野が変わった時期で、多少なりともこの事件に対して企業として対応しなければならなかったことも思い出す。麻原は多くを語る事なく死刑が執行された。結局、ぼんやりとした割り切れなさだけが残ってしまった。

この事件は世界で初めて一般市民に対して化学兵器が使われた大規模テロであり、戦時に使用されるために開発製造されて来た化学兵器が防衛手段を持たない市民に使用されるリスクが指摘され民間防衛(シビル・ディフェンス)の重要性が語られる契機になったといわれている。これは警察と軍隊との役割の再確認と、宗教活動と政治の妥当な折り合いを見いだせるのかが問われた事件だったと思っている。

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