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おどろきの中国/大阪アースダイバー/終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか/老いの心の十二章/オスは生きているムダなのか/おつまみ横丁/おもひでぎょうじ/沖縄密約ー『情報犯罪』と日米同盟/黄金旅風/『おたく』の精神史 一九八〇年代論/「面白半分」の作家たち/岡田桑三 映像の世紀/女ひとりがんと闘う

2013年5月12日 (日)

「おどろきの中国」橋爪大三郎・大澤真幸・宮台真司

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橋爪大三郎・大澤真幸・宮台真司 著
講談社現代新書(384p)2013.2.20
945円

橋爪大三郎は1948年生まれで、団塊の世代に属する。いわゆる全共闘世代で、この世代には本来なら優れた研究者になるはずの人間がその道に進まなかった例が(東大全共闘議長・山本義隆のように)少なくない。僕も同世代だから、そういう人間を周囲で何人も見ている。

そのせいかどうか、団塊の世代には母体となる人数が多いわりに個性的で優れた研究者が少ない印象がある。そのなかで橋爪大三郎は数少ない例外の一人、加藤典洋らとともに最新流行のフレームを輸入するのでなく自前でものを考えることを自分に課して仕事をしてきた一人だと思う。

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2012年11月12日 (月)

「大阪アースダイバー」中沢新一

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中沢新一 著
講談社320p2012.10.10
1,995円

中沢新一の『アースダイバー』は縄文と現代の東京地図を重ねて、縄文対弥生、低地の湿った文化対台地の乾いた文化といった対立をキーワードに、高台と低地が複雑に入り組む東京の成り立ちを読み解いてみせる刺激的な都市論だった(「ブック・ナビ」で紹介済)。『大阪アースダイバー』はその続編に当たる。

東京と並ぶこの国の二大都市である大阪は、アースダイバー中沢にとって、いっそう挑戦のし甲斐のある対象だったにちがいない。東京は近世になってからの都市なのに対して、大阪は古代河内王朝の都であり、中世には石山本願寺という宗教の中心があり、物と金が集まる経済の中心でもあった。お笑いや河内音頭といった伝統芸能が今も日常のなかに生きているし、一方、内部に「コリア世界」や被差別部落を深く抱え込んでもいる。

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2012年5月11日 (金)

「終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか」水野和夫

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水野和夫 著
日本経済新聞出版社(540p)2011.09.05
2,940円

『終わりなき危機』は3つの「危機」の日付から始まる。「9.11」「9.15」そして「3.11」。米国同時多発テロ(9.11)とリーマン・ショック(9.15)、福島第一原発事故(3.11)のことだ。「9.11」はジェット旅客機がミサイルと化して、「9.15」はサブプライムローンが「金融版大量破壊兵器」として、「3.11」は原発が「放射能兵器」へと姿を変えて弱者に牙をむいた。この3つの危機は何を意味しているのか。さらには、こうした危機が連鎖する21世紀とはどのような時代なのか。それがこの本を通底している問いだ。答えをあらかじめ言ってしまえば、これらは「近代の終焉を告げる事件・事故」であるというのが著者の考え。そのことを検証するために水野は、中世から近代への転換点となった16世紀のグローバリゼーションと、1970年代から現在へと続くグローバリゼーションとを重ね、比較している。

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2011年7月14日 (木)

「老いの心の十二章」竹中星郎

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竹中星郎 著
左右社(240p)2011.04.28
1,700円

「村の渡しの船頭さんは、今年六十のお爺さん・・」という童謡があった。評者は満64歳だから一昔前なら立派に「お爺さん」呼ばわりされてもしかたない歳になってしまった。そのお爺さんが、口だけは達者な86歳の老母と時間を共有するのだから、イライラさせられることも多い。わけのわからない理屈や、その日5回目ぐらいの質問などの相手をしていると、老いとの付き合い方の難しさが痛感される。そんな時、目に留まったのが本書。NHK放送大学のテキストをベースに身体的・精神的の両面から「老い」を解説していて、格好のガイド本として読み終えてみると、自らの老いに対する心構えにも役立ったのは収穫。

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2010年11月10日 (水)

「オスは生きているムダなのか」池田清彦

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池田清彦 著
角川学芸出版(193p)2010.09.18
1,470円

刺激的なタイトルではあるが内容はけして奇を衒うものではない。長い間、男女という二分法がわれわれ人類の思考枠を縛ってきたが、オス・メスという生物レベルでもう一度考えてみようという本。生物全体におけるオスとメスの関係と比較すると人類の男女の関係はかなり特殊であるということも十分実感できる。「なぜオスとメスがあるのか」「性の起源と死の起源」といったテーマをはじめとして多くのトピックスが紹介されていて、授業などで教わった断片的な遺伝子知識とは次元の違う専門用語も頻出するが、雑学的知識として読む限り楽しい本であるのは請け合える。

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2008年12月26日 (金)

「おつまみ横丁」瀬尾幸子

Otumami 瀬尾幸子著
池田書店(192p)2008.10.22
1,050円

最初にお断りしておくと、小生、自宅でアルコールをたしなむ習慣を持ってない。だから、この本を本来の目的であるおつまみレシピとして買ったわけじゃあない。

カバーの見返しには、こんなキャッチがつけられている。

「横丁酒場で味わうような/素朴であきない、旨い定番おつまみを/185品取り揃えました。/しかも、少ない素材で/呑みながらでもつくれる/かんたんなおつまみを厳選。/今日の一杯、明日の一杯を楽しくする/ず~っと使いつづけてほしい酒の肴集」

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2008年11月14日 (金)

「おもひでぎょうじ」絵 百瀬義行 監修 柳原一成

Omoide 絵 百瀬義行 監修 柳原一成  
晋遊舎(96p) 2008.08.08
1,260円

一年間の日常行事を、百瀬義行(スタジオジブリ)の水彩画と柳原一成の文章で紹介。ゆったりとした大人の絵本になっている。絵からの印象は昭和三十年代の感じを受けるのだが、作者としては、もう少し下った時代を想定しているようだ。「むかしこどもだった、すべてのひとへ。どこかにしまったまま、忘れていた大切なもの 昭和四十年代。季節に抱かれた家族の情景」と本の帯にある。その中の一枚の絵、落ち葉降る中、紙芝居を見る子供達を描いた秋の風景を見るにつけても、東京下町育ちとしては、紙芝居屋が自転車で公園や路地に来ていたのは昭和三十年代だろうと思う。そんな時代感はともかくとして、絵柄はあくまで子供達が主役。周りに両親や祖父母・友達などが登場する。

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2008年11月12日 (水)

「沖縄密約ー『情報犯罪』と日米同盟」西山太吉

Okinawa 西山太吉著
岩波書店(213p)2007.05

735円

1972年の春、沖縄返還交渉における密約の暴露が横路議員によって行われた。情報源は当時の毎日新聞記者で あった本書筆者の西山太吉であり、その西山に極秘電文情報を流したのは外務省事務官だったので大きな波紋を呼んだ。しかし、その後、問題の本質たる沖縄返 還交渉プロセスの実態解明とは別の方向にメディアの報道は展開していった。

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2008年11月 6日 (木)

「黄金旅風」 飯嶋和一

Ougon 飯嶋和一著
小学館(488p)2004.04.01

1,995円

飯嶋和一の小説は、あらゆるレッテルからはみ出してしまう。歴史に材料を求めているからといって歴史小説ではな いし、時代小説でもない。純文学ではないし、かといってエンタテインメントでもない。あるいは、そのいずれでもある。飯嶋和一の小説、としか言いようのな い世界として存在している。

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「『おたく』の精神史 一九八〇年代論」 大塚英志

Otaku 大塚英志著
講談社現代新書(448p)2004.02.20

998円

大塚英志は、自分はオタクを「オタク」でなく「おたく」と書くと言っている。80年代から使われはじめ、いまではすっかり定着してしまったこの言葉は、ふつう「オタク」と書く。たとえば「パソコン」と書くように、外来のもので日本語表記しにくいものはカタカナで書くのが普通だから、「オタク」というカタカナ表記には、大多数の 日本人にとっては自分と関係ない、外部からやってきたものというニュアンスと、さらにはいくらかの揶揄の気分が混じっているのだろう。

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