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黒い本/黒い迷宮/グリニッチ・ヴィレッジにフォークが響いていた頃/グランド・フィナーレ/グロテスク/クルディスタンを訪ねて/『偶然の一致』体験/偶然の一致 99の事件簿

2016年9月19日 (月)

「黒い本」オルハン・パムク

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オルハン・パムク 著
藤原書店(592p)2016.04.10
3,888円

グーグル・アースでイスタンブールを見る。アジアとヨーロッパにまたがるこの都市のヨーロッパ側、ボスポラス海峡と金角湾の北側に新市街(といっても19世紀の新市街)が広がっている。ニシャンタシュという地名を検索してみる。新市街の中心地、ベイオウル地区やタクシム広場から2キロほど北へ行ったあたりにこの地名がある。広い通りから一本裏へ入ると、ゆるい丘になっているのか、迷路のように曲がりくねった道路の両側にびっしりと茶色い屋根の家が建てこんでいるのが見える。『黒い本』の主人公たちがかつて大家族で住んでいたこのあたりから繁華街のベイオウル、旧市街へ渡るガラタ橋があるカラキョイあたりの路地から路地が本書の舞台になる。

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2015年7月12日 (日)

「黒い迷宮」リチャード・ロイド・パリー

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リチャード・ロイド・パリー 著
早川書房(528p)2015.4.25
2300円+税

ルーシー・ブラックマン事件を記憶されているだろうか。2000年7月、東京・六本木のクラブでホステスとして働いていた元英国航空客室乗務員、ルーシー・ブラックマン(21)が失踪した。当時のブレア英国首相から森総理に直々の捜査依頼があり、大がかりな捜査態勢が敷かれたことで話題になった。

3カ月後、別件で実業家の織原城二が逮捕され、その4カ月後に彼が所有するマンション近くの三浦海岸洞窟でルーシーのバラバラ死体が発見される。起訴された織原は、同じような手口で別の女性を死に至らしめた準強姦致死罪やルーシーの死体遺棄罪などで無期懲役が確定した。

著者のリチャード・ロイド・パリーは英国「ザ・タイムズ」紙のアジア編集長で東京支局長。日本に20年滞在している手練れのジャーナリストだ。「ルーシー・ブラックマン事件 15年目の真実」というサブタイトルをもつ『黒い迷宮』は、この事件を追ったノンフィクション。犯罪の舞台となった六本木の、外国人と日本人が入り乱れる水商売の闇に入り込んで事件の真相に迫っている。

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2014年7月16日 (水)

「グリニッチ・ヴィレッジにフォークが響いていた頃」デイヴ・ヴァン・ロンク他

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デイヴ・ヴァン・ロンク、イライジャ・ウォルド著
早川書房(392p)2014.05.15
2,700円

高校時代の一時期、ピーター、ポール&マリーが好きだったことがある。『グリニッチ・ヴィレッジにフォークが響いていた頃』(原題:The Mayor of MacDougal Street)を読んでわかったのは、この本が描く1960年代ニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジの空気に僕がはじめて触れたのはPP&Mの歌を通してだったことだ。

東京近郊に暮らす高校生がPP&Mに惹かれたのは、いま考えると理由が二つある。ひとつはマリー・トラヴァースの声と姿が魅力的だったこと。20代後半のマリーは、真っ直ぐなブロンドとぶ厚い唇が魅力的な「年上の女」の風情をたたえていたし、その声は低音がちょっとしゃがれ、それまで聞いていたアメリカン・ポップスの歌い手とはちがう大人の気配が感じられた。

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2008年11月 8日 (土)

「グランド・フィナーレ」 阿部和重

Ground 阿部和重著
講談社(204p)2005.02.01

1,470円

『グランド・フィナーレ』を、予感の小説と呼ぶことができるかもしれない。事件は、過去に起こってしまった。事 件は、未来に起こるかもしれない。過去の事件の結果としてある鬱々と重苦しい日常と、未来に起こるかもしれない事件のかすかな予兆とが重なり合うところ に、この小説の現在がある。「わたし」は37歳。職を失い、離婚して、ひとりで故郷へ戻ってきた。古い木造の一軒家に住み、仕事もなく、実家で食事をさせてもらい、昼日中から町なか を目的もなく歩いている。妻に引き取られた一人娘「ちーちゃん」の思い出の品、「ジンジャーマンのぬいぐるみ」を抱っこしながら。

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2008年11月 5日 (水)

「グロテスク」 桐野夏生

Guro 桐野夏生著
文藝春秋(540p)2003.06.30

2,000円

ジャズのライブを聴いていて、ドライブに次ぐドライブのはてに、いまこの瞬間に音が異次元へイッた、と感ずるカタルシスがやってくることがある。最近では、ハービー・ハンコック、クリスチャン・マクブライド、ジャック・デジョネットというすごいトリオでそれを体験した。ジャズばかりではない。どんな音楽にも、また詩や小説にも、脳内にアドレナリンが放出されているに違いないそんな瞬間はある。

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「クルディスタンを訪ねて」 松浦範子

Kurudo 松浦範子著
新泉社(312p)2003.03.15

2,415円

この1年のあいだに、立てつづけに2本のクルド映画を見た。1本はイランのクルド人がつくった「酔っぱらった馬の時間」。イラク国境に近い山村で密輸で食べている家族の苦難を、少年の目からセンチメンタルにも告発調にもならずに静かに見つめた、まぎれもない傑作だった。もう1本はトルコ映画で「遙かなるクルディスタン」。こちらは、クルド人と間違われて差別されるトルコ人カップルとクルド人のあいだの友情と悲劇を描いた、トルコ人の手になる社会派的な映画だった。

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2008年11月 3日 (月)

「『偶然の一致』体験」 超常現象追跡班

Anata 超常現象追跡班 編著
KKベストセラーズ・ワニ文庫(239p)1999.06.05
524円

ここにも蓋然性とシンクロニシティが・・・
同じ時期に同じ類の本がよくでるものだが、この本は実話を丹念に拾い、くくりを入れてまとめたもの、そのくくりが冒頭見出しの、恐ろしい~謎の、の5分類。同時期の同類の本のように解釈を入れていないだけに、かえって好印象。大事件、大事故にみられる偶然の一致、その最初のくくりは「恐ろしい」。ハマの大魔神・佐々木投手の数字22、誕生日は2月22日の午前2時22分、背番 号22はスカウトした人と同じ、球団事務所番地も2の22、構えた自宅の郵便番号は222、電話番号の末尾も22、愛娘の誕生時間も午前2時22分と まぁー。

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「偶然の一致 99の事件簿」 津田良一

Guzen 津田良一 著
二見書房(258p)1995.03.25
486円

アンソロジー文庫本ながら、先達の力作
集めも集めたりの数ゆえに取り上げた訳ではない。この本の初版の年号を見ていただきたい。ノストラダムス、ハルマゲドンと騒がれた1999年に多く出たア ンソロジー本の、その種本と思われるのがこの本である。しかもこの類の本にしては売り切りではなく、年を隔てて重版されている代物ナリ。

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