「超国家主義」中島岳志
中島岳志 著
筑摩書房(272p)2018.03.25
1,836円
「超国家主義」とはなんだろうか。平凡社大百科事典にはこうある。「ナショナリズム(民族主義、国家主義、国民主義)の契機を極端に膨張・拡大し、自民族至上主義、優越主義を他民族抑圧・併合とそのための国家的・軍事的侵略にまで拡大して国民を動員・統合・正当化する思想・運動ないしは体制のこと」。第二次世界大戦前、天皇を頂点にいただく大日本帝国をその中心に構想された「大東亜共栄圏」は超国家主義の典型とされる。とはいえ21世紀に生きるわれわれにとって、それは歴史の彼方にある遠い風景にすぎないようにも感じられる。
いや、そうではない、と中島岳志は言う。彼は本書を構想したきっかけをこのように書く。ある日、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 まごころを、君に』という映画を見て衝撃を受けた。なぜなら、煩悶をかかえた青年が世界との一体化を希求して政治行動へ傾斜するこの映画の世界観はそのまま超国家主義につながっている。超国家主義への渇望は今もうずいている。この本は、そんな問題意識から生まれた。
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