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津波の霊たち/徒然草Remix/ツ、イ、ラ、ク/2days4girls/つげ義春幻想紀行

2018年12月16日 (日)

「津波の霊たち」リチャード・ロイド・パリー

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リチャード・ロイド・パリー 著
早川書房(336p)2018.01.25
1,944円

ブック・ナビで取り上げる本はずっと新刊本を対象にしてきたけれど、ここ2年ほどはときどき旧刊も取り上げている。書評のプロではないので幅広く目配りするわけでもなく、何冊か読んでも心が動く本が見つからない月がある。新刊ばかり読んでいるわけでもないので、そんなときは旧刊でも面白かった本について書くことを主宰者から許してもらった。『津波の霊たち 3.11 死と生の物語』も、そんな一冊。

書店でこの本を見てリチャード・ロイド・パリーという名前に見覚えがあった。カバー袖の著者紹介を見ると、ブック・ナビでも取り上げた『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件の真実』の著者。英国『ザ・タイムズ』紙の東京支局長で、20年以上東京に暮らすベテラン・ジャーナリストだ。

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2012年3月 8日 (木)

「徒然草Remix」酒井順子

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酒井順子 著
新潮社(205p)2011.11.22
1,470円

徒然草に接するのは何十年ぶりだろうか。受験勉強の名残として冒頭の文章だけはそらんじているものの、著者、吉田兼好の人物像にまで思い馳せことはなかった。本書は「Remix」と題している通り稀代のエッセイストである兼好と徒然草を素材として酒井順子が兼好像を現代の目線から探り出していこうというもの。結果、兼好はイキイキとした生身の人間として表現され、同業者(エッセイスト)としての酒井の感性も伝わってきて面白く読んだ。

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2008年11月 5日 (水)

「ツ、イ、ラ、ク」 姫野カオルコ

Tuiraku 姫野カオルコ著
角川書店(432p)2003.10.31

1,890円

笑える恋愛小説――と、この本を言ってみても、おそらくどんなイメージも浮かばないだろう。そもそも「笑える」と「恋愛小説」とは結びつきにくい言葉だし、誰もが思い浮かぶような先行モデルもない。この小説は「笑える」といっても、面白おかしいというより知的な笑いだし、「恋愛」といっても、甘く切ないものというよりむしろ狂おしいほどの感情の嵐 を指している。その異質なもの同士がからみあい綾をなして、ユニークな、そして実に楽しめる小説が生まれた。

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「2days4girls」 村上 龍

2day 村上 龍著
集英社(332p)2003.08.10

1,995円

僕のまわりに村上春樹ファンの女性はいくらでもいるけれど、村上龍のファンは少ない。もっとはっきり言えば、いない。僕が、龍のほうが断然いいよと言うと、たいてい、そーお? どこが? と、うさんくさいものを見るような表情をされてしまう。たしかに村上龍の小説は、女性に好かれない要素に満ちている。取りあげる素材も文体も暴力的だし、時にポルノグラフィーと見まがうほどにエロティックだし、マッチョな側面が無神経に顔をのぞかせたりもする。

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2008年11月 3日 (月)

「つげ義春幻想紀行」 権藤 晋

Tuge 権藤 晋著
立風書房(208p)1998.2.20 
2,415円 

それぞれの残像
全学連世代の後半、全共闘世代の前半に圧倒的な支持を得たつげ。「ねじ式」を初めて見た時の衝撃は忘れがたいだろう。原風景がそこにあるからだ。民家から出てくる機関車、シュールさはダリ、キリコに匹敵する。漫画、 劇画全盛のころに、正しく漫画の世界に大きな楔をうったつげの原点は旅、ひなびた山里、さびれた温泉にこそあると著者はいう。

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