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名取洋之助/永山則夫 封印された鑑定記録/なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか/流される/なぜヒトは旅をするのか/何が映画を走らせるのか?/なぜわれわれは戦争をしているのか/夏目漱石を読む

2014年2月16日 (日)

「名取洋之助」白山眞理

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白山眞理 著
平凡社(160p)2014.01.10
1,680円

昨年の暮れ、「報道写真とデザインの父」というキャッチ・コピーを付されて「名取洋之助展」が開かれた(日本橋高島屋)。本書はこの展覧会と連動して発行されたもの。いわばカタログを一般読者向けに編集したヴィジュアル本である。

名取洋之助は写真やデザイン、出版に興味のある人以外、今ではなじみの薄い名前になっているかもしれない。戦前戦後の昭和期に活躍した写真家、編集者、出版プロデューサー。写真家としては昭和10年代、ヨーロッパで盛んになったグラフ雑誌を飾る「報道写真」という新しい流れを日本に持ちこんだことで知られる。

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2013年7月17日 (水)

「永山則夫 封印された鑑定記録」堀川恵子

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堀川恵子 著
岩波書店(354p)2013.02.27
2,205円

永山則夫が1968年に北海道から京都まで放浪して拳銃で4人を殺した「連続射殺魔事件」は、50歳以下の世代にはほとんど記憶されていないだろう。死刑制度に関心のある人なら、死刑の「永山基準」として名前を聞いたことはあるかもしれないが、事件の詳細までは知らないにちがいない。

僕を含めそれ以上の世代にとっても、この事件は貧困のなかで育ち、学校教育もろくに受けなかった永山が貧しさゆえの「無知」から金欲しさに引き起こしたもの、と世に流布された解釈に従って記憶の片隅に片付けてしまっている。発生から45年、永山の死刑執行から15年、この連続射殺魔事件が別の角度から光を当てられた。「家族」の物語としてである。

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2013年6月22日 (土)

「なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか」ロバート・C・アレン

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ロバート・C・アレン 著
NTT出版(226p)2012.12.6
1,995円

世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか。この単純かつ根源的な疑問に簡潔に答えたのが本書。著者のアレンはオクスフォード大学で経済史を専攻する学会の大御所だそうだ。原題は「Global Economic History: A Very Short Introduction」というもので、オクスフォード大学出版「入門シリーズ」の一冊として出版された。

だからこれ、一読した感想は大学教養課程の教科書みたい。ところがこれが面白いんだなあ。だからこそ一般書として翻訳されたんだろうけど。その理由は、ひとつにはかつての経済史が近代国家を対象にしたものだったのに対し、アジア、アフリカ、南米を含んだグローバル・ヒストリーとして経済史を考える新しい視点が出てきたこと。もうひとつは、それぞれの地域を時間軸に沿って数量的に比較しながら考えることができるデータが揃ってきたことにある。

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2011年11月12日 (土)

「流される」小林信彦

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小林信彦 著
文芸春秋(284p)2011.09
1,550円

小林信彦は昭和7年(1932年)生まれ。この世代は「満州事変の勃発とともに生まれ、以降、戦争の中に居た」と小林自身が言っているように「戦争とともに育った世代」だ。もう少し上の世代であれば徴兵で戦地に狩り出されたが、この世代は10代の多感な時期に戦争と敗戦という真逆の環境におかれ大きな戸惑いの中で青春を過ごし、戦争の理不尽さを生活感で記憶している世代だと思う。その小林は就職難の中、1959年の「ヒッチコックマガジン」編集長に始まって、小説家や、映画・ジャズ・落語といった分野における評論家、TV勃興期のシナリオ・ライターなど、各種ペンネームを駆使しながら多方面で活躍した。1983年に出版された「ちはやぶる奥の細道」などは仕掛けを含めて面白く読んだものだが、最近、彼の文章に接するのは週刊文春のコラムぐらいであったのは寂しかった。

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2011年3月10日 (木)

「なぜヒトは旅をするのか」榎本知郎

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榎本知郎 著
化学同人(208p)2011.01.20
1,575円

「遠い世界に旅に出ようか・・」という西岡たかし作詞の歌があった。学生の頃の歌だ。それにつけても、演歌であれジャズのスタンダードであれ、人間は「旅」にまつわる詞を多く生み出してきた。TV番組に目を向けても「旅もの」は根強い支持がある。旅は楽しいし、好奇心を満たしてくれるちょっとした冒険の時間なのだろう。それでは「なぜヒトは旅をするのか」とまともに質問されてみるとなかなか答えが難しい。この問いを人類学のテーマとしてみようというのが本書の狙いである。著者が示す旅とは「『うち(仲間)の集団』の生活圏を出て『よその集団』の生活圏に入り、その集団の人たちと敵でも味方でもない対等なコミュニケーションをとりつつ、その集団から食事や宿舎の提供を受け、何日も移動しながら最終的には『うちの集団』に戻る行動」というもの。

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2008年11月 9日 (日)

「何が映画を走らせるのか?」 山田宏一

Nani 山田宏一著
草思社(568p)2005.11.30
3,990円

一年半ほど前から「Days of Books, Films & Jazz」というブログを始めて、本や映画や音楽の感想めいたことを書いている。活字の本はともかく、映像や音について言葉を使って語る作業は、やってみてはじめてそのむずかしさがわかる。いままで何十年と見たり聴いたりしてそれなり に感じたり考えてきたことはあるつもりだったけど、いざ活字でそれを表現しようとなると、どうやってもうまく伝えられなくて七転八倒することになる。

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2008年11月 5日 (水)

「なぜわれわれは戦争をしているのか」 ノーマン・メイラー

Naze ノーマン・メイラー著 田代泰子訳
岩波書店(110p)2003.09.05

1,260円

大戦後、一貫して反権力と戦争の不毛を説きつづけてきたノーマン・メイラーが9.11とイラク戦争に関して行っ た、対談と講演録である。評者の年齢では活字が大きいというのも読み易い重要な要素だが、慣れ親しんだ、あのメイラーの凝った文体や言い回しに比較する と、明快でシンプルな論理展開は大変わかりやすい。

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2008年11月 4日 (火)

「夏目漱石を読む」 吉本隆明

Natume 吉本隆明著
筑摩書房(260p)2002.11.25

1,890円

吉本隆明が蘇った。彼の読者なら先刻承知のことだが、吉本隆明は1996年の夏、毎年行っていた伊豆の海で溺れ、あやうく一命を取り止めた。それ以後、自身の言葉を借りれ ば「ガクンと衰えが進み、全身ボロボロの状態」でいくつもの病気や障害を抱えこみ、今でも300メートルを歩くのがやっとだという。衰えは肉体だけにとどまらなかった。事故以後の吉本の著作は、自身にとって最も切実な問題である老いと病をめぐる数冊の本がリアリティーを感じさせるのみで、悲しいことに、思想家としての吉本隆明は死んだ、と思わざるをえなかった。

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