に  

にょにょにょっ記/21世紀の資本/2666/日本農業の真実、日本の農業が必ず復活する45の理由/日本は世界5位の農業大国/日本人は何故シュートを打たないのか/二階屋の売春婦ー末永史劇画集/ニューヨーク烈伝/日本の200年、徳川時代から現代まで/日本という国/ニュルンベルク・インタビュー/日本防衛のあり方/日本経済復活への序曲/ニッポン文庫大全

2015年10月18日 (日)

「にょにょにょっ記」穂村 弘/フジモト マサル

Nyonyo_homura

穂村 弘/フジモト マサル 著
文藝春秋(224p)2015.09.07
1,620円

著者の穂村弘は1962年生まれの歌人。1990年のデビュー当時は「ニューウェーブ短歌」の先駆けとして名を馳せた。本来、限られた字数を舞台とする文学ジャンルの表現者なのだが、本書のような字数制約のない表現形態でも独特の世界観を創り上げている。「別冊文藝春秋」に掲載されていた日記形式で書かれたエッセイを単行本化したもので、シリーズ3作目となる。シリーズ1作目が「によっ記」。「日記」と「ニョッキ」を掛けた言葉遊びなのだろうが、2作目が「によによっ記」、従って3作目の本書が「によによによっ記」という奇怪なタイトルになっている。しかし、4作目は「によっ記4(によっきし)」とかにしないと長くなりすぎて困るだろうと余計な心配をしてしまう。

さて、本書は日常的な事柄の疑問や不思議をテーマとして、その視点は評者からすると「なるほど感」や「もっとも感」に包まれたものだ。まあ、周波数が合うとでもいう事なのだろう。世代の違う人達の会話に出てくる言葉への驚き、古い書物や子供の頃のテキストに表れる不思議な表現、街で配られるフリーペーパーから店の看板にいたるまでその興味が広がっている。そうしたものに素直に反応する著者の「気づき力」とでも言うべき感性の鋭さは歌人たる穂村の力量だろう。

続きを読む "「にょにょにょっ記」穂村 弘/フジモト マサル "

| | コメント (0)

2015年3月16日 (月)

「21世紀の資本」トマ・ピケティ

Nijyuiti_piketty

トマ・ピケティ 著
みすず書房(710p)2014.12.8
5,940円

トマ・ピケティの『21世紀の資本』は世界で150万部超、日本でも13万部のベストセラーになった。700ページを超える専門書がこれだけ売れたのは、40年に及ぶ編集者生活でもあまり見た記憶がない。世界中で格差問題に対する関心がいかに高いか、ということだろう。

日本でも何冊かの解説本が出版され、週刊誌で「1時間でわかるピケティ」なんて特集も組まれた。ピケティ自身も来日してシンポジウムやインタビューでいろんな発言をしている。だから本書の、
「r ≻g(資本収益率は経済成長率≒賃金上昇率を上回る)」
といった式や、
「現在の格差は長期的には持続不可能なところまで高まっている」
という結論について知りたいのなら、わざわざ700ページを読むまでもない。

続きを読む "「21世紀の資本」トマ・ピケティ"

| | コメント (0)

2013年4月20日 (土)

「2666」ロベルト・ボラーニョ

2662_robelt

ロベルト・ボラーニョ 著
白水社(870p)2012.10.20
6,930円

大長編小説を読む楽しみは格別なものがある。ドストエフスキーにしろ、フォークナーにしろ、読んでいる数週間、あるいはそれ以上の時間(この本の場合2カ月)、ある時代、ある国の男と女が織りなす世界にどっぷり浸りこむ。もちろんどんな小説や映画でも似たような体験が得られるけど、読むのに数十日かかる大長編小説では、その深さ濃さは比べものにならない。その間、食事や仕事など日々の生活を送る自分と、別の時代、別の国にタイムトリップした自分と、同時に二つの生を生きているような錯覚を起こす。

続きを読む "「2666」ロベルト・ボラーニョ"

| | コメント (0)

2011年12月10日 (土)

「日本農業の真実」生源寺眞一、「日本の農業が必ず復活する45の理由」浅川芳裕

Nougyou1

生源寺眞一 著
ちくま新書(208p)2011.05.10
756円



Nougyou2浅川芳裕 著
文藝春秋(304p)2011.06.30
1,350円

TPP(Trans-Pacific Partnership Agreement)をめぐって、「参加しないと日本は取り残される」とか「参加すれば日本農業は壊滅する」とか、推進、反対の議論がかまびすしい。僕はそれぞれの立場を代弁する経団連にも全農にも肩入れする気は毛頭ないけれど、議論の焦点になっている農業には関心がある。自宅の庭でささやかながら家庭菜園をやっているし、棚田ネットワークというNPOの会員にもなっている。といって、日本の農業の現状についてちゃんと知っているわけではない。

続きを読む "「日本農業の真実」生源寺眞一、「日本の農業が必ず復活する45の理由」浅川芳裕"

| | コメント (0)

2010年7月15日 (木)

「日本は世界5位の農業大国」浅川芳裕

Nougyou

浅川芳裕 著
講談社(192p)2010.02.19
880円

この一年半のあいだ週末を利用して旧東海道を歩いている。旧東海道といっても都会に飲み込まれてしまった道や静かな住宅地の抜け道として残っているところなど、いろいろな風景に出会う。その中でものどかな田園風景を歩くことも多い。素晴らしく手入れの行き届いた田畑の中に多くの休耕田があるのも目立つ。食料自給率の向上が叫ばれて久しいが、なにか日本の農業政策の歪みが感じられる風景といってよい。そんな印象を持っていたところに、書店でふと目にしたタイトル「日本は世界5位の農業大国」に惹かれるものがあった。

続きを読む "「日本は世界5位の農業大国」浅川芳裕"

| | コメント (2)

2008年11月12日 (水)

「日本人は何故シュートを打たないのか」 湯浅健二

Nihon_d湯浅健二著
アスキー(224p)2007.07.10

760円

私は熱狂的なサッカー・ファンではないが、サッカーの国際試合がある度に日本チームの決定力不足という声を長いあいだ聞いてきたように思う。そもそも決定力とは何なのかは曖昧さを残しながら。そんな中でタイトルが気になって手にした一冊である。著者の湯浅健二は湘南高校・武蔵工大でサッカーをやり、卒業後ドイツに留学。ケルン国立体育大学でドイツサッカー協会のプロサッカーコーチライセンスを取得。帰国後、東京ヴェルディーでコーチに就任といった経歴を持つ。

続きを読む "「日本人は何故シュートを打たないのか」 湯浅健二"

| | コメント (0)

「二階屋の売春婦ー末永史劇画集」末永 史

Nikai 末永 史著
ワイズ出版(272p)2007.06.05

1,890円

忘れていた、あるいは忘れたがっていたどす黒い感情の塊をいきなり目の前につきつけられた。『二階屋の売春婦ー 末永史(すえなが・あや)劇画集』は、そんなふうに読み手の心をかき乱す。いささかの懐かしさと、いささかの嫌悪感をともないながら、発表から30年以上 たった今もすっくと立ちつくす、未熟ながら現在形の表現に思わず引き込まれた。ここに収められた21編の劇画の半分以上は1971年から73年の間に、マンガ雑誌『ヤングコミック』に掲載された。上村一夫の表紙、かわぐちかいじや石 井隆が連載をもっていたこの雑誌は、当時の劇画ブームのなかで『漫画アクション』などの主流とは違う、ちょっといかがわしい雰囲気をもつマイナーな劇画誌 だった。

続きを読む "「二階屋の売春婦ー末永史劇画集」末永 史"

| | コメント (0)

「ニューヨーク烈伝」 高祖岩三郎

Ny 高祖岩三郎著
青土社(528p)2006.12.05

2,940円

この本のサブタイトルは「闘う世界民衆の都市空間」。ニューヨークという都市のイメージとあまりにかけ離れた、 そして今どきめったにお目にかからない「闘う」とか「民衆」といった言葉に、いったいこれは何なの? と、書店の棚で見かけて思わず手に取ってしまった。 しかも、ニューヨーク「列伝」ではなく「烈伝」である。言葉遣いからして「烈しい」。この本の中身を短く要約するのはむずかしい。だからというわけではないけど、見出しをいくつか書き写してみる。

続きを読む "「ニューヨーク烈伝」 高祖岩三郎"

| | コメント (0)

2008年11月11日 (火)

「日本の200年、徳川時代から現代まで」(上・下) アンドルー ゴードン

Nihon200 アンドルー ゴードン 著
みすず書房(上432p・下416p)2006.10.23

上・下共2,940円

本書は「A Modern History of Japan」の日本語訳である。アンドルー・ゴードンは、1995年以降ハーバード大の歴史学教授を勤めた日本労働史研究の第一人者であり、同大の E.O.ライシャワー日本研究所所長も勤めた知日派の一人。2003年の英語版出版に続いて中国語・ハングル・スペイン語版が刊行されている中での日本語 版の出版である。日本の近・現代史の分野でこの数年の間にジョン・ダワーの「敗北を抱きしめて」や、ハーバート・ビックスの「昭和天皇」といった日本戦後研究の大作が立て 続けに刊行されたのは記憶に新しいが、これらのピュリツアー賞を受賞した作品とともに、世界史における日本を物語るものとして本書は評価されてしかるべき だと思う。

続きを読む "「日本の200年、徳川時代から現代まで」(上・下) アンドルー ゴードン"

| | コメント (0)

「日本という国」 小熊英二

Nihontoiu 小熊英二著
理論社(192p)2006.03.30
1,260円

『みんなのなやみ』(重松清)、『バカなおとなにならない脳』(養老孟司)といったラインナップが並ぶ中・高校生向き「よりみちパン!セ」シリーズの1冊。なかではこれがいちばん話題になり、売れてもいるようだ。小泉首相が自分の「美学」のためだけに8月15日に靖国神社を参拝したことで、60年前の戦争と戦争責任についての議論が改めて盛り上がっている。最近の 反中国、反北朝鮮、反韓国の議論を見ていると、表向きの強面とは逆に、その裏側に不安や被害者意識が貼りついているような気がしてならない。それがどこか ら来ているのかを考える手がかりとして、近代日本のなりたちを解説しているこの本が役に立つ。

続きを読む "「日本という国」 小熊英二"

| | コメント (0)