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盗みは人のためならず

2016年2月19日 (金)

「盗みは人のためならず」劉震雲

Nusumi_ryuu

劉震雲 著
彩流社(424p)2015.11.20
3,024円

高層ビルの建設が進む北京を舞台に政府高官からコソ泥まで色んな人間が偶然の糸で絡み合うこの小説を読んで、中国にとって共産主義の70年ってなんだったんだろうと考えてしまった。

共産党を名乗る以上、建前としてでも資産階級の打倒とか貧富の格差の是正とかの「理想」があったはずだけど、そんな「理想」は結局人々の心になんの痕跡も残さなかったんじゃないか。そんなふうに思わせる、なんでもあり、しっちゃかめっちゃかの世界。

政府高官と秘書、成り上がりの不動産ディベロッパーとその妻、建設現場の監督とコック、泥棒の元締めのアヒル商、偽酒づくり、私立探偵、登場人物のほとんどが大なり小なり泥棒である。いや、盗みを働かない正直者も出てくる。でも建設現場の賄を任された彼女は、「正直者を使うより、泥棒を使うほうがマシとは」と、監督からあっさり首を切られてしまう。

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