「捏造の科学者」須田桃子
須田桃子 著
文藝春秋(383p)2015.01.07
1,728円
振り返ってみれば、2014年という年は「STAP細胞」から始まったと言える程、1月のあの記者会見は華々しく・センセーショナルに報道された。しかし、わずか一年間で画像の疑義や捏造の指摘・ネイチャー論文の撤回・論文共著者である笹井氏の自殺・理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)解体提言・STAP現象は再現出来ず検証チームの打ち切り等、あっという間の事態の推移に一般人の科学に対する信頼は大きく揺らいだと言ってよい。本書は、毎日新聞科学環境部の記者である須田桃子によって書かれたもので、同紙で生命科学やノーベル賞などの領域を担当し、「STAP細胞事件」でも発表記者会見当初から記事を書いて来た。そうした取材実績をベースに、笹井氏や若山氏をはじめとしたCDB関係のキーマン達への取材やメールでのやり取り、一連の記者会見などの状況等を紹介しつつ時系列に事件を描写している。それは同時に科学ジャーナリスト須田桃子が自らのSTAP細胞報道に対しての反省も含めた検証作業をしているかのように本書を読んだ。
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