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脳はなぜ都合よく記憶するのか/ノモンハン戦争/のりたまと煙突/脳の老化と病気

2017年3月18日 (土)

「脳はなぜ都合よく記憶するのか」 ジュリア・ショウ

Nouha_julia

ジュリア・ショウ 著
講談社(306p)2016.12.14
1,944円

年齢のせいか記憶という言葉に敏感になってきた。物忘れも加齢の結果と割り切ることにしているものの思い出せないイライラ感がないわけではない。本書は「朝起きたら、自分でしてきたこと、学んだことなどを何ひとつ覚えていなかったらどうだろう。それでも、この人物はあなたなのか」との問いかけから始まる。著者は「過誤記憶(記憶エラー)」という脳心理学の領域の数少ない研究者。人の記憶については近年多様な視点からの研究が行われていて新しい発見も多いといわれている。それらの多くは人の記憶の不完全さを明らかにしてきているのだが、そうした成果をもとに冤罪の危機にあった多くの犯罪容疑者たちを救う活動をしてきた実績を持つ人である。

イノセンス・プロジェクトという冤罪を無くすことを目的とした団体は、DNA鑑定を利用して337名の容疑者を釈放させたが、驚くべきことにこの釈放された容疑者の内75%は「誤った記憶」による証言が有罪の根拠とされていたという。この数字は米国におけるDNA鑑定が可能であった事件だけに限られているということを考えると、世界でどれだけの曖昧な記憶による証言で罪を負っている人が居るかは想像に難くない。こうした状況に対する科学からの問題提起である。

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2009年9月 4日 (金)

「ノモンハン戦争」田中克彦

Nomonhan 田中克彦
岩波新書
248p2008.06.19
819
 

 「ノモンハン戦争」というのは、僕らが普段「ノモンハン事件」と呼出来事を指している。 1939年夏、満洲国とモンゴル人民共和国の国境地帯で日本軍とソ連軍が4カ月にわたって激突し、それぞれに2万人前後の死者・行方不明者を出した。 この出来事はロシア(ソ連)側では「ハルハ河の勝利」とか「ハルハ河の会戦」と呼ばれている。大量の戦車と航空機が出動し、両軍で4の死者・行方不明者を出した長期の戦闘は「事件」や「会戦」というより「戦争」と呼ぶにふさわしいけれど、日本もロシアもそう呼ばないのは宣戦布告なしに戦われた「非公式」の戦争だからだ。

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2008年11月11日 (火)

「のりたまと煙突」 星野博美

Noritama 星野博美著
文藝春秋(328p)2006.05.15

1,850円

「のりたまと煙突」という懐かしい語感の、でもつながりがよくわからない言葉を重ねたタイトルから、人はどんな内容の本を想像するんだろう。「のりたま」と言えば、ふつうはのり巻きと玉子の寿司か、あるいは弁当。ひょっとしたらふりかけを思い浮かべる人もいるかもしれない。いずれにしろ食べ物を連想させるわけで、それが「煙突」とどう関係するの?

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2008年11月 4日 (火)

「脳の老化と病気」小川紀雄

Nou 小川紀雄著
講談社(236p)99.02.20
924 円

ブルーバックスは手軽な科学本として、手にもとりやすく、中には事典形式の厚手のものはごめんこうむりたいが、ハードカバーに劣らない内容で重宝している。何よりも校訂がしっかりしていること。安直本はほとんど無い。時折、科学の現況が気になる文科系の者には数式もあまりなくて安心できる。

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