「名誉と恍惚」松浦寿輝
松浦寿輝 著
新潮社(768p)2017.03.05
5,400円
松浦寿輝という名前は僕の頭のなかで詩人、フランス文学者として登録されていた。パリのエッフェル塔を現代思想っぽく読み解いた『エッフェル塔試論』をぱらぱら読んだこともある。でも、調べてみると小説『花腐し』で芥川賞を受賞したのが2000年。以来、10作近い小説を発表しているから、小説家としてのキャリアも十分に長い。でもその小説に手が出なかったのは、詩人・研究者の書く小説はあまり面白くなさそうという、こちらの勝手な思い込みと偏見による。
書店の棚で、ずいぶん分厚い本だなあと本書を手に取ったとき、帯に筒井康隆が推薦文を書いているのが目に入った。「舞台は子供の頃から憧憬していた魔都・上海。まるで青春時代の古いモノクロの超特作映画を見ているような気分になり、僕はミーハー的な惚れ込み方をしてしまった」
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