「森の探偵」宮崎学・小原真史(文・構成)
宮崎学・小原真史 著
亜紀書房(336p)2017.07.06
1,944円
動物写真家と紹介されることの多い宮崎学だが、彼の撮る写真は普通の人が考える動物写真のイメージから、ずいぶんはずれている。
いま手元に、宮崎の特徴をよく表した2冊の写真集がある。『死』(平凡社)は、森のなかで見つけたニホンカモシカやタヌキなど野生動物の死骸を定点観測したもの。ニホンカモシカの死骸をまずシデムシやハエがかぎつけ、卵を産んでウジが体内に入り、タヌキやネズミ、モモンガ、コマドリがやってきて死肉を食い、体毛をもっていき、やがて白骨になって落葉のなかに埋もれる様子を数カ月にわたって撮影したものだ。
『アニマル黙示録』(講談社)は、文明社会との接点に住む野生動物を追ったもの。盛り場をねぐらにするドブネズミ。どぶ川に住むティラピア。洗剤のキャップを宿にしたヤドカリ。行楽地の残飯をあさるニホンザル。野生化して東京の空を飛ぶインコ。ゴミ焼却場のゴミを餌にするキツネの家族。キャンプ場のゴミ捨て場に現れるツキノワグマ。ブラジャーやティッシュで巣をつくるトビ……。
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