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焼き餃子と名画座

2009年11月 6日 (金)

「焼き餃子と名画座」平松洋子

Yaki_2平松洋子 著
アスペクト(280p)2009.09.30
1,785円
 
本書はタイトルの通り極めて「日常的」な食に関するエッセイである。それにしても上手いネーミングだ。「とびっきりの東京の味」というサブタイトルを見るとレストラン・ガイドかと誤解しそうであるがそうではない。世上、食べ物に関する書物はこの四半世紀で飛びぬけて増えた出版領域の一つだと思う。「食材」に関するもの、「料理」を作るもの、「食べる」という目線でのレストラン・ガイドなど、多くの食べ物本のジャンルがある中で圧倒的に「食べる(レストラン・ガイド)」領域が多くなってきたのは何故だろうか。季節の食材を家庭料理で楽しむという風潮はなくなったわけではないにしても、プロの技を堪能し、とても素人では作れない料理を賞味するという時代になったのだろうか。日本、特に東京では世界の美食が堪能できるといわれ、日本も豊かなったと20年前には素直に思っていた。しかし、いまや世界の美食は中国にとって代わられつつあるというのも事実。それでも日本ではレストラン・ガイドが夥しく出版されている。そこで、一般人が予約し難い店や、個人が自費で食事をするにはひどく高価な店などの紹介されているのを見ると、何の為のガイドかと疑問を持つことも度々ある。

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